あらすじ

都心から一時間ほどのところにある、
海と山に囲まれた町、結倉ゆくら
どこにでもあるのどかな町だが、
古くより町に住む人々は、想いを「歌」にして詠んできた。

そんな結倉には月に一度、必ず執り行われる儀式がある。
それは、土地神さまに捧げる恋の歌を「歌合うたあわせ」にて詠むこと。
特別な歌を詠むのは「歌詠み」として選ばれた者たち。
捧げられた短歌を判じる役目を負うのが「判者はんざ」。

絶やすことなく続けられてきたこの風習は、
かつて愛する神を喪った土地神さまの御心を鎮める、大切なもの。
儀式を行わなければ、
結倉の町に天災や怪異が起きてしまうのだ。

そして今、歌詠みとして暮らす者たちのもとに、
新しい判者がやってくる。
彼女と彼らに待ち受ける運命が、
大きく動き始めることも知らないままに――